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小児の脳腫瘍

小児悪性腫瘍の中で白血病に次いで多いのが脳腫瘍です。(恐らく胎児期からあったと思われる)生後1ヶ月未満の新生児期に発症する脳腫瘍もあります。成人例と異なり、幼い子どもたちは正確に症状を表現することができないために、発見までに長い時間が経過してしまうこともよくあります。症状は頭蓋内圧亢進症状(腫瘍が圧迫して頭蓋内の圧が高くなることによる症状)、局所症状(腫瘍がある場所により生ずる症状)、内分泌症状(ホルモン異常を介する症状)のいろいろな組み合わせで個々に異なります。もちろん、それぞれの症状は脳腫瘍以外でも起こりうるものです。そのような症状があったときに「脳腫瘍も考えてみる」という思考が大切だと考えます。

①頭蓋内圧亢進症状

  頭痛、嘔気、嘔吐(起床時に嘔吐する場合は注意が必要です)

  甲高く泣く(恐らく頭痛の表現)

  視力低下(視神経の圧迫)

②局所症状

  ふらつき、真っ直ぐ歩けない、転倒しやすい、めまい、手が震える(小脳症状)

  視力障害、視野狭窄

  顔面のゆがみ、口から唾液や食べ物をこぼす(顔面神経)

  聴力の変化

  性格の変化(怒りっぽくなる、だらしなくなる、乱暴になる、物忘れが多くなる等)

  知的能力の低下(本が読めない、字が書けない、計算ができない等)

  痙攣発作

  ボンヤリ感

③内分泌症状

  成長が止まる、尿量が増えて咽喉が乾く(下垂体)

  性早熟症状(視床下部)

他にもそれぞれは特異的(病気に特徴的)ではないけれども、いくつか同時に、または長期間続く、さらに一般的な検査や治療では改善しない体調変化があった場合には必ず脳腫瘍を疑わなければなりません。小児神経専門医、脳神経外科医と相談しながら、頭蓋CT、頭蓋MRI、脳波検査、血液検査(一般的検査及びホルモン検査)などをを組み合わせて診断を進めていきます。腫瘍の種類、腫瘍の悪性度、発生部位、年齢、体調、体力、現在の症状などを総合的に判断して、手術療法・化学療法・放射線療法・ホルモン療法・抗痙攣薬療法・一般的な栄養管理などを行います。繰り返しになりますが、脳腫瘍の診断に一番大切なことは、まず脳腫瘍を疑うことです。

参考資料







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