特に自覚症状なく学校心電図検診で不整脈を指摘され、病院を受診するように学校から指示されるお子さまがいらっしゃいます。
当院で再度心電図検査を実施し、自動解析判定で「異常」と出た場合には小児循環器専門医をご紹介する方針としています。
検診で発見される不整脈の種類には期外収縮、房室ブロック、WPW症候群、先天性QT延長症候群などがあります。
ほとんどは何も問題なく生活できますが、まれには致死的な経過をたどるケースもあり注意が必要です。

慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト KOMPAS より抜粋
心臓は血液を全身に送り出すために絶え間なく収縮を続けています。この収縮のリズムの異常が不整脈です。頻脈(頻拍)とは、心拍数が異常に上昇し、脈が異常に速くなること、徐脈とは心拍数が異常に低下し、脈が異常に遅くなることをいいます。小児では、日常の生活のなかで症状をともなってみつかることは少なく、学校心臓検診で初めて異常を指摘されることが多いです。次のような不整脈が学校心臓検診でよく見つかります。
1.期外収縮
本来のリズムよりも早く収縮してしまうものをさします。心房性期外収縮と心室性期外収縮があります。無症状であれば治療が必要のない良性なものであることが多いです。運動負荷心電図を行って期外収縮が増加する場合は運動制限が必要ですが、運動で消失する場合には運動制限も不要です。定期的な観察を行います。
2.1度房室ブロック
心房と心室の間でリズムが伝わりにくくなった状態です。症状はなく心電図で初めて発見されます。運動負荷心電図で心房から心室までのリズムの伝わりが正常化する場合は良性です。運動によって2度房室ブロック(後記)になる場合には運動制限が必要です。
3.2度房室ブロック
心房からの刺激が一部心室に伝わらない状態です。ウェンケバッハ型の場合は良性で、特に運動制限・治療の必要はありません。運動負荷で悪化する型、心拍数の上昇が悪い型は運動制限が必要です。
4.3度房室ブロック
心房からの刺激が心室に届かない状態です。心室が独自のリズムで収縮しますが脈拍は遅くなります。運動負荷で心拍数の上昇が悪い場合、運動制限が必要で、高度の徐脈、失神、めまい、易疲労性などを認める場合にはペースメーカー植え込みが必要です。
5.WPW症候群
心房と心室の間の刺激伝導が、副伝導路を介することで伝導異常をきたし乳児では心拍数220以上・学童では180以上にもなる頻拍発作を引き起こします。学童だけでなく新生児・乳児期にもみられ心電図でデルタ波を認めることから診断されます。動悸、胸部不快感、失神などの症状をきたし長時間持続すると心不全を呈します。頻拍発作時の治療には、バルサルバ手技(息ごらえ)・冷水や氷を顔にあてる・頸動脈洞マッサージ等の迷走神経刺激や薬を急速静注します。循環不全の緊急時には電気的除細動を行います。発作予防には抗不整脈薬内服が必要で、頻回に繰り返す場合にはカテーテルによる高周波副伝導路焼却術が行われます。ただし、学校検診で指摘されたWPW症候群のすべての方が、頻拍発作を起こすわけではありません。頻拍発作がない場合には、特別な治療、運動制限は必要ありません。睡眠不足、過労、ストレスが発作の誘因となることがあるので、注意が必要です。定期観察を行います。
6.先天性QT延長症候群
小児期の致死性不整脈の原因として重要で、カリウム・ナトリウムイオンチャネルの異常が原因です。心室性期外収縮の頻発から心室頻拍(多形性心室頻拍torsade de pointes(TdP))や心室細動を来し、失神や突然死をおこしうるものです。心電図でのQT時間の延長から診断されます。TdP予防にはβブロッカーや抗不整脈薬が用いられます。発作時には抗不整脈薬の静注や電気的除細動が必要です。ただし、学校検診で指摘されたQT延長症候群のすべての方が、発作を起こすわけではありません。発作がない場合には、特別な治療、運動制限は必要ありませんが、睡眠不足、過労、運動時の水分・塩分補給不足、水泳中(特に潜水)が発作の誘因になることが多いので、注意をすることが大切です。定期観察を行います。